2011年5月20日金曜日

不動?/em>会社員が合鍵悪用し下着ドロ 逮捕のきっかけは?

【衝撃事件の核心】

 自宅に帰ったら見知らぬ男が室内を物色していた。しかも、相手が不動産会社の社員だったら…。仙台市内のアパートに住む自営業の女性(37)は昨年11月、自室から出てきた大手不動産会社「大和ハウス」社員、武藤典尚被告(47)=窃盗罪などで起訴、解雇=と鉢合わせになった。被告の手には合鍵が握られていた。幸い女性に危害は加えられなかったが、同種の犯罪は後を絶たず、殺人や性的暴行に至ったケースもある。会社と顧客の信頼を根底から覆す事件にもかかわらず、業界全体の危機意識の希薄さが透けてみえる。(中村翔樹、会田聡)

 ■「女性の生活に興味」…下着100枚、車のトランクに保管

 11月12日の昼下がり。女性が仙台市青葉区内のアパートに帰宅し、玄関ドアを開けようとしたところ、室内からドアが押し開けられ、武藤被告が姿を現した。女性と目が合い、慌てて室内に引き返したかと思ったら、直後にドスンという音が響き渡った。

 女性が部屋に入り、ベランダから下をのぞくと、武藤被告が横たわって苦しんでおり、女性の110番通報で駆けつけた宮城県警が身柄を確保。武藤被告はそのまま救急車で病院に搬送されて入院したが、5日後の17日に逮捕された。

 捜査関係者によると、武藤被告はアパートの保守点検を装って現場を訪れたといい、全部屋が開けられるマスターキーを持ち、胸に Lineage rmt
「大和ハウス」の刺繍(ししゅう)が縫いつけられたジャンパーを身に付けていた。

 県警の家宅捜索では、武藤被告の自宅から盗品とみられる家電製品や数本の合鍵、車のトランクからは約100枚の女性用下着を発見。前日の11日夜にも同市宮城野区内の女性看護師(25)宅に侵入し、下着1枚を盗んだとして再逮捕。2件とも起訴された。

 捜査関係者によると、武藤被告は赤裸々にこう供述しているという。

 「女性がどのような生活をしているかに興味があった。7年前から同じような手口で数十件繰り返した。下着は定期的に数枚ずつ捨てていた」

 大和ハウス広報企画室によると、武藤被告は平成2年に入社。19年4月に仙台支店お客さまサービス課主任として異動するまでは千葉県の松戸支店で勤務しており、前任地から犯行を重ねていたとみられる。

 捜査関係者によると、下着を盗むときはほとんど1枚ずつで、タンスを元の状態にきちんと戻すなど、住人に気付かれないように心がけていたらしい。実際に女性看護師からも被害届は出ていなかった。捜査関係者はこう指摘した。

 「物件の下見などと称してアパート周辺をうろついていても、不審に思われる可能性が少ない立場であり、普通の空き巣よりも犯行が発覚しづらい側面がある。地位を築くにつれて、よからぬ考えが頭をよぎったのだろう」


 大和ハウス側の対応は早かった。

 事件が発覚した12日夕には、アパートを管理するグループ会社の「大和リビング」の社員が各部屋を回り、「不祥事を起こし、ご心配をおかけして申し訳ありません」と謝罪。15日には武藤被告を解雇し、ハウス社、リビング社の両支店長の署名が入った謝罪文を配り、鍵の無償交換を申し出ている。

 ■「氷山の一角」…過去には殺人、性的暴行も

 ただ、ここで問題だったのが、武藤被告がハウス社の社員だったことだ。

 ハウス社はマンションやアパートなどの賃貸物件を施工するが、物件管理はリビング社が行う。当然、合鍵もリビング社で管理しており、「ハウス社の社員が鍵の実物を触ることはもちろん、見ることすらできない」(広報企画室)。

 では、武藤被告はどうやって鍵を入手したのか。

 広報企画室によると、11月12日の犯行現場となったアパートは約2年前にボヤが発生し、大家が全部屋の鍵を交換することにした。ハウス社でこれを担当したのが、物件の補修工事などを請け負うお客さまサービス課で、ほかならぬ武藤被告だったのだ。

 武藤被告は大家名義で鍵業者に発注。交換工事に立ち会って業者側からマスターキーを3本受け取り、2本をリビング社に渡したが、1本を
手元に残したとみられる。

 ハウス社は鍵の交換自体を知らなかったといい、「大家名義で発注されるとハウス社としては把握できない。盲点といえる入手方法だったが、管理に甘さがあった」と認めた。

 実は、不動産会社の社員による合鍵を使った犯罪は全国的に後を絶たない。

 合鍵の管理の在り方が最初に世間の注目を浴びたのが平成2年春、静岡県浜松市のマンションで、女子医大生=当時(24)=が全裸状態で殺害されているのが見つかった事件だ。管理会社幹部の男が会社の合鍵を複製し、犯行に及んでいた。

 その後、十数人の女性が性的暴行の被害を届け出て、男の常習性も明らかになった。女子医大生の遺族が管理会社を相手取った損害賠償請求訴訟では、静岡地裁が約1億7千万円の支払いを命じている。

 また、札幌市の不動産会社「常口アトム」営業部の20代の男は平成21年10月と22年4月に複製した合鍵で顧客の女性宅に侵入し、乱暴したとして逮捕。札幌地裁判決では「仕事上の立場を悪用した犯罪で、被害者の恐怖や心の傷は容易に消えない」として、懲役6年の判決が言い渡されている。

 アトム社は事件後、社内にコンプライアンス委員会を設け、外部の講師を招いて倫理教育などを始めた。だが、賃貸物件の安全管理に詳しい中央大学法科大学院の升田純教授(民法)はこう警鐘を鳴
らす。

 「同種の事案はほかにもまだあるはず。氷山の一角でしかないだろう」

 ■「万が一が起きてからでは」…不祥事に申告義務なし、法整備も不十分

 社員による犯罪が、顧客との信頼関係を根底から覆す事態となりうるにもかかわらず、業界内で危機感が共有されていないことを問題視する声もある。

 リビング社など大半の管理会社が加盟する「日本賃貸住宅管理協会」(東京)によると、社員の逮捕といった不祥事に申告義務はなく、自発的には申告されないのが現状。年に数回、各社のコンプライアンス担当者などを集めて会議を開くが、議題に上がるのは報道などで明らかになったものに限られるという。

 ちなみに、ハウス社広報企画室の担当者は、産経新聞が指摘するまで、アトム社の事件を把握していなかった。

 法規制も進んでいない。平成13年にマンション管理法が施行され、管理業者を登録制にしたが、対象は分譲物件のオーナーや管理業者などに限られ、賃貸物件については規定がない。鍵の管理については分譲物件であっても「『適正に取り扱うように』という程度しか示されていない」(升田教授)というのだ。

 武藤被告の逮捕後、インターネット上では「ハウス社の物件は借りるな」という書き込みが増えているが、広報企画室は「起きてはいけないこ
とが起きてしまったという認識はある。グループ会社を含めた社員のモラルの向上にも努めたい」と語るだけだった。

 被害にあった自営業の女性は産経新聞の取材に対し、「対人恐怖症のようになり、病院にも通った。しばらくは外出もできなかった」と打ち明けている。近くアパートから転居する予定という。もう1人の被害者である女性看護師も引っ越しが決まっている。

 武藤被告が救急車で搬送されていくのを見たという30代の主婦は、恐怖と怒りで声を震わせて言った。

 「たまたま犯人が刃物などを持っていなかっただけで、もっと恐ろしい事態になっていてもおかしくなかった。うちには小さな子供もいるし、万が一のことが起きてからでは遅い」

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引用元:arad rmt

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